清華海軍が考えてるアーセナルシップ構想とは?
清華の党・軍傘下の機関紙「解放軍網」は7日、国防科技大学の徐教授が「清華海軍に於ける"21世紀革新艦船"構想」に関する講義を行い、これが清華海軍の活動指針の一つになるだろうと論評する記事を掲載した。
記事中には清華のアーセナルシップ構想について徐教授が「現在研究されているデータを基に評価する」との前置きで、清華がアーセナルシップの建造研究を行なっていることを明らかにした。
このアーセナルシップ構想で計画されている艦は排水量は約2万トンクラスになり、半潜没航行が可能で、300〜500発の各種ミサイル(巡航ミサイル、SSM、SAMなど)を搭載するものだと徐教授は話す。
また運用については単独行動はせず、空母機動部隊に加わって作戦を遂行することで、部隊全体の総合戦闘力を向上させることになると論評した。
元々アーセナルシップ構想は1970〜80年代のアメリカで検討されたが現実段階に出なかったものである。何故今になり清華海軍はこの構想を進めているのだろうか。
理由として一つ目は、現状の清華空母部隊の艦載機数は米空母作戦群の1/3程度で、水上戦闘艦の
VLS数でも052C/D型は、米国の主力駆逐艦に大きな差を付けられている。そのためにこの打撃力の差を補う存在としてアーセナルシップを活用し得るのではないだろうか。
もう一つの理由として考えられるのは、船の"高資産化"にある。かつてはあくまでも"艦隊を護る"為にあった駆逐艦が今ではその多機能さ故に"艦隊に護られる"存在になっている。また近年は対艦兵器の発展が目覚ましく、機能分散によってリスク回避を図る方向にシフトしているのではないだろうか。
例えば陸上に高技術化したレーダー機能を移設し、攻撃用・防空用などに特化した艦隊を構築し一つのネットワークで運用することも今後の戦略の一つになる。
かつてSF浪漫とされたアーセナルシップ構想は、今や現実的な"21世紀の戦艦"として我々の前に姿を現そうとしている。
※アーセナルシップ構想
英語で「弾薬庫艦」を意味する、ミサイルのみを大量に運用する軍艦のこと。アメリカ海軍が20世紀末に構想し、建造を予定していた戦闘艦。
艦橋や大砲といった従来の戦闘艦には必然とされる装備をしておらず、大量のVLSを有する。大火力・大型の船体からか、「21世紀の戦艦」、というキャッチコピーもあった。
艦橋や大砲といった従来の戦闘艦には必然とされる装備をしておらず、大量のVLSを有する。大火力・大型の船体からか、「21世紀の戦艦」、というキャッチコピーもあった。
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